あなたの動き(やりたいこと)を邪魔する不要な緊張を手放すためのセルフワーク。身体のデザインに合った使い方、協調作用がうまくはたらく使い方ができるようになります。
あなたが協調作用をうまく使えるようになるには、カギとなる場所があります。
どこだと思いますか?
先に言っておきますが、体幹ではありませんよ。
それは・・
頭(頭蓋骨)です。予想は当たりましたか?
頭といっても、位置ではなく、どんなふうにそこにあるのか。
頭がフワッと自由かどうかが、良くも悪くも全体の協調作用に影響しているのです。
頭がフワッと自由だと、その下に続く脊椎全体も長くなって自由に動けます。脊椎が一つのバネと思うとわかりやすいと思います。首が縮んでロックされた頭が上から押していたら、脊椎のバネも縮んで硬くなるでしょう。
下の図を見てください。
首が緊張して頭の動きがロックされると、”緊張のスパイラル”が起きて協調作用はうまく働けません。
”きらめきのスパイラル”が起きているときは、全体の協調作用もうまく働きます。
これは人間だけでなく、脊椎動物すべてがそういうシステムで動いているのです。すごいでしょ!
大事なのは、どちらのスパイラルの中にいたいのかは、あなたが選べる、ということです。だって、自分の身体ですもの!
手をあげる時は「手をあげよう」と思うように、
急いで歩く時は「急いで歩こう」と思うように、
「私の首が楽、頭は動ける」って自分に指示を出せばいいのです。簡単でしょ。
(この動き全体を示す言葉を”きらめく”と呼んでいます)
ただし、あなたの無意識は勝手に頭をロックしようとします。習慣ですからね。
どんなことでも新しい使い方には練習が必要です。ダンスと同じです。
その練習が、アレクサンダー・テクニークのレッスンです。
<おさらい>
頭のロックが全体の協調作用に影響しています。
ロックしたくなるのは、自分の無意識の習慣です。
習慣が起きないような、きらめきスパイラルが選べることを思い出しましょう。
頭のロックをはずすのは、あなた自身です。(きらめく)
ロックがはずれるとあなた全体が協調して動けます。準備ができたら動きましょう。
きらめきスパイラルにのりましょう!
■アレクサンダー・テクニークのレッスンは何をする?■
あなたがやりたいことをやります。
やりたいことのために自分の協調作用にはたらいてもらう、これが大事なことです。
練習として、こちらからシンプルな動きを提案することもあります。歩いたり、イスに座ったり、楽しいゲームをしたり。どこで頭をロックしたくなるのか見つけます。
最初は、教師(私)が手を添えて、あなたのお願い(自分への指示、きらめく)があなた全体に届くようにサポートします。緊張のスパイラルに向かわないような、新しい動きのプランを提案することもあります。
レッスンを続けるうちに、あなたは自分でお願いができるようになり、自分で全体の協調作用がうまくはたらくようにコントロールできるようになるのです。
素晴らしいでしょ!
【ダンサーにとって期待できる効果】
◎ダンスの基礎がもっと理解できる
◎テクニックの向上に役立つ
◎存在感や表現力が豊かになる
◎効果的な練習ができるようになる
◎先生の言っていることがより理解できるようになる
◎ケガや故障の予防
◎リハビリ効果を上げる
◎あがり症の改善・・・等々
■アレクサンダーさんって誰?■
F.M.アレクサンダー(1869〜1965 オーストラリア)
アレクサンダーさんは、元はシェイクスピアの朗唱などを得意とする舞台俳優でした。
あるとき「舞台で声が出にくくなる」というトラブルに見舞われます。医師は休養を勧めますが、休んでも思うような改善ができません。「これは自分のやっていることの中に原因があるに違いない」と考え、鏡で朗唱する自分を観察しました。
彼の声を出なくしていたのは、首を縮めて頭を後ろに落としてロックするという無意識の習慣でした。彼は自分の習慣を”やめる”ための方法の探求を続け、自分全体を協調して機能的に使えるための方法を見つけました。
頭をロックする習慣は、実はほとんどの人がやっているもので、声だけでなく、自分を使って行うすべての行動に影響し、心身にさまざまなトラブルを引き起こしていました。
彼はこのテクニークを人々に教え、無意識の反応をやめることで全体の協調が良くなった多くの人が心身の不調を改善しました。
その効果は多くの医師が認めています。
☆ ☆ ☆
アレクサンダー氏の著書には多くの医師が賛同の意を表しています。
イギリスの医学誌 『British Medical Journal 』(2008年8月)には、”慢性的な腰痛の改善に効果が認められた”ことの調査結果が掲載されています。
海外では医師の処方があれば保険が適用できる国もあります。
■ボディケアや整体、治療などとの違い
痛みや歪みなどの「症状」をなくそうとするのではなく、要因となっている習慣の方を変えることで改善を促します。
結果として予防になったり改善がみられたりしますが、治療行為ではありません。